レコードからカセットテープへ

前回オヤジ世代のデートプランニング力について述べたが,今回はその恐るべき力をさらに解明したい。まずオヤジ世代はクラブでDJをしたことのある人などは残念ながら少ない。しかしオヤジ世代は全員DJと言っても過言では無い。それは何故か?

その答えはカセットテープにある。今でこそ音楽は誰でもiPhoneで簡単に購入して楽しむことができる。最近ではストリーミング再生型の音楽サービスも登場したため,購入すら必要無い。しかし,オヤジ世代の青春時代はレコード全盛時代だ。レコードは高いし,大きい。当然全部を買うこともできないし,持ち歩いて聴くことな不可能だ。そこでカセットテープがメインになる。自分でレコードやFMラジオから録音(これをエアチェックと言う)して,それをウォークマンで聴くのだ。オーディオ機器も一人前に扱えてこそ男子だ。

オリジナルテープに秘めたストーリー

もちろんアルバムをそのままカセットで聴く人が多かったが,我々退廃主義紳士なオヤジはそこで終わらない。自分でカセットに好きな曲順に音楽を編集し,オリジナルカセットテープを作るのだ。RockやAORなどのジャンル毎など朝飯前。大事なのはデート用だ。車でのドライブ,自宅でのデート様々なシチュエーションを想定したオリジナルな90分(当時のカセットテープでオリジナルを作る時に一番活躍したのは長い90分テープ。120分は薄くなるので音質が悪くなるのだ。)。ドライブデートのスタートはこれからの楽しいデートを想起させるドラマチックなジャーニーの「Don't Stop Believin」あたりで軽く盛り上げる。夕暮れサンセットのタイミングではボズ様の「We're all alone」。彼女の瞳はもううっとりしてくるはずだ。そして夜の首都高速はボビーコールドウェルの「Stay with Me」。もういつでも無言のキスタイム。そして車のままご休憩タイムだ。

BGMは前戯

そう我々オヤジ世代にとってBGMは前戯のようなものなのだ。当然彼女が好きなアーティスト情報も事前にリサーチすることも重要になる。中でも後半ここぞのバラードの選び方は大事だ。車や自宅の中で会話が無くなってもBGMがあれば見つめ合っているだけでも大丈夫なのだ。そこまで考えて用意されたカセットテープをたくさん持っていたのだ。一本作成するのにどれだけの時間をかけたことか!オヤジ世代のデートプランニング力の競争力の高さをあらためて感じていただけただろうか。

Journey - Don't Stop Believin' (Live in Houston)

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Boz Scaggs - We're All Alone (HQ)

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Bobby Caldwell - Stay With Me

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LAWRENCE - E-RIDE x LIFESTYLE + α 投稿 | 編集